米国:経済のレジリエンスの背後にある信用構造の分化
過去数年間、米国はほぼ40年ぶりとなる最も積極的な金融引き締めサイクルを経験しました。FRB(米連邦準備制度理事会)は昨年すでに利下げに踏み切ったものの、現在の金利水準は依然としてパンデミック前より大幅に高い状態が続いています。住宅ローン金利は7%前後で高止まりし、企業の資金調達コストも歴史的に高いレンジにあります。従来のロジックでは、高金利は往々にして信用拡大を抑制し、需要を冷やし、最終的に経済成長を妨げる要因となります。しかし、米国経済は明らかなリセッションを見せず、個人消費、雇用、企業投資ともに強い粘り強さを示しています。
このような状況下で疑問が生じます。民間部門の資金調達活動が長期低迷している中、米国経済成長は一体誰によって支えられているのでしょうか?
信用創造の構造を見ると、答えは財政とAI投資にあります。下図のとおり、近年の新規資金調達は主に政府部門や一部のAI関連投資分野に集中しており、個人および従来型企業部門の資金調達活動は歴史平均を明らかに下回っています。
米国各部門の新規信用供与のGDP比率
この変化は決して理解しにくいものではありません。ここ数年、米国の財政赤字は高水準で推移し、大規模な政府支出が総需要を支える重要な力となっています。同時に、AIブームによりデータセンター、コンピューティングパワー基盤、関連産業チェーンの設備投資が急速に拡大しました。一般消費者の住宅・自動車購入や伝統的な企業の設備増強に比べ、これら分野は資金調達コストへの感応度が比較的低いため、高金利環境下でも資金需要は依然として旺盛です。
しかし、視点を民間部門に移すと、別の景色が広がります。米国の家庭によるクレジットカードや自動車ローンの90日以上延滞率は歴史的高水準に近づいており、高金利は実質的に個人の行動に明確な制約となっています。
AI投資は個人や企業のK字型分化を拡大させました。テクノロジーセクターの恩恵はそもそも限定的で、米国の伝統産業の多くは依然として圧力がかかっています。バンク・オブ・アメリカのデータによると、現在米国の高所得層と中低所得層の収入増加率の差は過去より著しく拡大しています。企業サイドでは、小規模企業の信用需要は拡大しておらず、中大企業との差が顕著です。
中長期的に見れば、K字型分化の成長構造のほうが、単に経済のレジリエンスを論じるより留意すべき事柄です。民間部門の信用逼迫は直ちに市場のメイントピックとはなりませんが、見過ごされがちな事実を示します。つまり、現在の米国経済の強さは、財政とAI投資の支えに大きく依存しており、需要の拡がりは明らかに十分ではありません。地政学的要因やインフレ要因が金融サイクルの進行を遅らせているものの、高金利がいつまでも持続できるわけではありません。
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